表表紙/裏表紙
見返し/---
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音野 有亜ちゃんへ
せかいで たった いっさつの えほん
有亜ちゃん はじめまして こんにちは！！
平成３０年１２月吉日
こん ぶりおより
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ようこそ！ アリアちゃん
ようこそ！ あかちゃん
なかえよしを・作 上野紀子・絵
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こうのとりが
アリアちゃんを
おとうさんの しずねさん
おかあさんの ぴあのさんに
とどけるために
オペラハウスのちかくに むかって
とんで いました。
「アリアちゃんが うまれる
28ねん12がつ7にち
ごご3じまでには
まだ だいぶ じかんも あるなあ。
ちょっと ひとやすみして いくかな。」
こうのとりは ずっと とびつづけて いたので
つかれて いたのです。
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こうのとりは きれいな おはなばたけに
まいおりました。
「きもちのいい おはなばたけだ。」
こうのとりが そういって やすんでいる あいだに
アリアちゃんは はいはいして
おはなばたけの さんぽに でかけました。
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アリアちゃんが おはなばたけに
はいって いくと そこに きれいな
ようせいの おうじょさまが あらわれました。
「ここからは ようせいの くにですよ。
ようせいで ないと はいれませんよ。」
アリアちゃんは
なんの ことだか わかりません。
すると ようせいの おうじょさまは
「アリアちゃんを
ようせいに して あげましょう。」
と いって つえを ふりました。
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すると アリアちゃんの せなかに
かわいらしい はねが はえました。
はねが はえると
そこに ちいさな はなの ようせいが あらわれました。
「わたしが ようせいの くにを あんないします。」
アリアちゃんは
はなの ようせいの あとに ついて
おはなばたけの うえを とんで いきました。
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「ようせいの くにの おともだちに
しょうかいして あげましょう。」
はなの ようせいは アリアちゃんを
みんなの ところに つれて いきました。
「みなさーん あたらしい ようせいの
アリアちゃんですよー。」
おはなに たくさん ちいさな ようせいたちが
あつまって きました。
あたらしい おともだちが できて
みんな うれしそうです。
「アリアちゃんの
かんげいかいを しましょう。」
みんなが いいました。
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ちいさな ようせいたちは
アリアちゃんの ために
ジュースを つくろうと
たくさん くだものを もって やって きました。
アリアちゃんの ための ごちそうです。
「どうして みんな はじめて あったのに
こんなに しんせつに して くれるの？」
「だって アリアちゃんの
よろこぶ かおが みたいんだもの。」
ちいさな ようせいたちが こたえました。
アリアちゃんは うれしくて
ジュースを いっぱい のんで しまいました。
「それでは こんどは みんなで
かくれんぼを しましょう。
わたしが おにに なるから
みんな かくれて いいですよ。」
と はなの ようせいが いいました。
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それを きくと みんなは あっと いうまに
おはなの かげに かくれました。
アリアちゃんも いそいで
おはなの かげに かくれました。
でも みんな すぐに
はなの ようせいに みつかって しまいました。
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「こんどは おにごっこを しましょう。」
はなの ようせいが いうと
「こんどは アリアちゃんが
おにに なる。」
と アリアちゃんが いいました。
「えっ アリアちゃんが？」
みんなは おどろきました。
「どうして おになんかに なるの？」
と みんなは アリアちゃんに
たずねました。
「だって みんなの よろこぶ かおが みたいんだもの。」
と アリアちゃんは こたえました。
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みんなは アリアちゃんが
こころの やさしい こだと おもいました。
それで ようせいの おうじょさまが
アリアちゃんを ようせいに
したんだと おもいました。
ちいさな ようせいたち みんなは
そら たかく のぼりました。
とりさんが やって きて
びっくりぎょうてんしていました。
アリアちゃんは たのしくて たのしくて
いつまでも とびまわって いました。
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あまり とびまわって いたので
みんな つかれて しまいました。
ちいさな ようせいたちは
おはなの うえに まいおりて
おはなの つぼみの なかで おひるねを しました。
アリアちゃんの まわりに みんな よりそって
しあわせそうに ねて しまいました。
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しばらく ねて いると
どこからか かすかな こえが きこえて きました。
「アリアちゃん。」
「あっ こうのとりの こえだ。」
みんなも
「きこえる きこえる。」
と いいました。
アリアちゃんが みあたらないので
こうのとりが しんぱいして さがして いるのです。
「もう いかなくては。」
アリアちゃんは いいました。
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「また あそびに きても いい？」
アリアちゃんが たずねました。
「でも にんげんに なったら
ようせいで なくなっちゃうから
わたしたちの ことなんて きっと わすれちゃうよ。」
ちいさな ようせいたちが いいました。
「ぜったいに わすれない！」
アリアちゃんは おおきな こえで いいました。
「さようなら また くるね。」
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アリアちゃんは
こうのとりの こえの する ほうへ
ようせいの くにの おはなばたけから
でて いきました。
すると アリアちゃんの
せなかの はねが きえました。
「さようなら また あそびに きてね。」
ちいさな ようせいたちは
アリアちゃんに てを ふりました。
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アリアちゃんが いって しまうと
ちいさな ようせいたちは
「アリアちゃんは
わたしたちの ことなんか
すぐに わすれちゃうよ。
もう ようせいじゃあ ないんだから。」
「そうだよね。はねが ないんだものね。」
と かなしそうに いいました。
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すると そこに また
ようせいの おうじょさまが あらわれました。
そして いいました。
「だいじょうぶ。アリアちゃんは
こころが ようせいに なりましたからね。
はねなんか なくても いつまでも
みんなの ことを わすれませんよ。」
ちいさな ようせいたちは あんしんしました。
「そうだよ。アリアちゃんは
ようせいの こころを もった
ステキな にんげんに なるよ。」
「そうすれば きっと また あそびに きて くれるよ。」
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アリアちゃん
ようせいの こころ わすれないでね！
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--- /見返し
アリアちゃんは
聖マリンバ病院の
マレットせんせいの おかげで
しんちょう 50センチ たいじゅう 3000グラムで
たんじょうしたのでした。
おとうさんと おかあさんは
アリアちゃんが うまれて だいかんげきでした。
ヨハンくん、ルードくん、
ウォルフくんが
アリアちゃんの たんじょうを
おいわいして くれました。
それを みとどけると こうのとりは
まんぞくそうな かおを して かえって いきました。
ようこそ！あかちゃん
なかえよしを・作 上野紀子・絵
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